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電磁超音波厚さ計(EMA)の測定原理・特徴 Measuring principle

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電磁超音波厚さ計の測定原理・特徴

電磁超音波厚さ計の測定原理・特徴

電磁超音波厚さ計は、EMAT(Electromagnetic Acoustic Transducer:電磁超音波探触子)と呼ばれるトランスデューサー(プローブ・探触子)を使用し、金属の厚さを測定します。
一般的な超音波厚さ計には無い様々な特徴を備えており、用途に応じて超音波厚さ計と電磁超音波厚さ計を使い分けることで、より効率的に検査を行うことができます。
ここでは、電磁超音波厚さ計の特徴と測定原理について、詳しく説明します。

特徴

電磁超音波厚さ計は、圧電素子を用いた一般的な超音波厚さ計と異なり接触媒質が不要で非接触での測定も可能なため、カプラント(専用材)や水や油を嫌う場所の検査に適しています。また、測定面のスケール除去等の前処理を必要としないため、接触媒質の塗布が不要なこととあわせて現場で迅速な検査が行えます。
他にも、一般的な超音波厚さ計では、高温材料の測定において圧電素子が熱の影響を受け振動が弱くなりますが、電磁超音波厚さ計では影響を受けづらいため、高温での測定にも適しています。

一方で、トランスデューサー(EMAT)に永久磁石を内蔵しているため、鉄などの強磁性体の測定では、磁力でトランスデューサーが測定箇所に強く張り付いたり、鉄粉を集めてしまうため、取扱いに注意が必要です

・接触媒質(カプラント、水、油)の塗布が不要

・測定面の酸化スケール(錆)除去等の前処理が不要

・重ね塗りや塗装面が劣化した塗装材の素地(母材)の厚さ測定

・高温材料の厚さ測定

厚さ計の種類 電磁超音波厚さ計 超音波厚さ計
金属(導体)の厚さ測定
ガラス・プラスチックの厚さ測定 ×
カプラント(接触媒質)の必要性 不要 必要
非接触での測定 ×
精度
局部腐食や孔食の検出 ×
その他 電磁超音波厚さ計は、従来の超音波厚さ計では測定が困難な、重ね塗りや表面状態が悪い塗装材の素地(母材)の厚さ測定が可能。一方で測定精度は、従来の超音波厚さ計よりも若干劣り、部分的な局部腐食や孔食の検出には適さない。

測定原理

電磁超音波検査では、電磁的に試験体内部に超音波を発生させ、超音波の送受信を行います。具体的には、磁気と電流を用いて試験体表面にローレンツ力および磁歪を発生させ、試験体内部に超音波を伝搬させます。
伝播させた超音波は金属の反対側で反射して戻ってきます。これを電気信号として受信し、送信から受信するまでの時間(伝播時間)を計算し、厚さに変換します。

送信

試験体の外に置かれたコイルに送信の電気信号電流を流して、試験体の内部の表面近傍に誘導電流(渦流)を発生させます。この電流と、永久磁石又は電磁石の磁場により、次の2種類の方法で試験体内部に超音波を発生させます。

ローレンツ力

永久磁石又は電磁石の磁場中に、磁場と直角方向に誘導電流が流れる試験体があると、その試験体には磁場および誘導電流の方向と直角方向のローレンツ力が発生し、超音波振動として試験体内部を伝搬します。

磁歪

強磁性体は磁場印加により長さが変化する「磁歪」と呼ばれる性質があります。永久磁石又は電磁石の磁場による磁歪と、誘導電流によって発生した誘導磁場による磁歪との複合磁歪効果による力が、超音波振動として試験体内部を伝搬します。

受信

試験体内を帰ってきた超音波による振動が、永久磁石又は電磁石の磁場を受けると、試験体内部に電流が発生します。この電流による誘導電流が試験体の外に置かれたコイルに流れて、受信の電気信号となります。