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Usage 用途(超音波厚さ測定/材料)

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(繊維強化プラスチック)
セラミックスセラミックス

鋼材の厚さ測定

鋼材の厚さ測定

鋼とは、硬度や引っ張り強さを人工的に高めた鉄を主成分とする合金のことです。
原材料の入手が容易で、加工性にも優れているため、古くから使用されており、特に18世紀以降は、製法の革新により飛躍的に生産量が高まりました。
鉄道、船舶、自動車、プラントをはじめ、建築や構造物等に使用されており、高度成長期には産業のコメと呼ばれるほど、産業の発展に重要な役割を果たしてきました。

超音波厚さ計は、鋼材の厚さ管理の必要性とともに、普及したと言っても過言ではありません。
ここでは、鋼材の厚さ測定に適したトランスデューサー(プローブ・探触子)について説明します。

鋼材の超音波厚さ測定は、タンクや配管等の減肉・腐食状況を確認するための保守管理と、プレスや曲げ・絞りや切削等の加工後の厚さ管理の2つの用途で主に行われています。
以下では、用途別のトランスデューサー(探触子・プローブ)の選定について説明します。

腐食検査

腐食検査は、鋼の超音波厚さ計測定で、最も中心的に行われている測定用途です。
外径が12mm以下の5MHzの二振動子のトランスデューサーを使用します。
詳細は、腐食検査を参照ください。

腐食検査はこちら

腐食検査

厚物や表面が粗い場合

厚物の測定には、2.25MHz以下のトランスデューサーを使用します。
低周波のトランスデューサーを使用することで、より厚物の測定が可能になります。
また、端面が粗い場合の測定においても、低周波のトランスデューサーが適しています。

厚さを正確に測定したい場合

7.5MHz以上の高周波のトランスデューサーを使用します。
二振動子のトランスデューサーよりも、一振動子のトランスデューサーの方が、より高い精度での測定が可能です。ただし、一振動子のトランスデューサーは、腐食検査のような裏面に凹凸がある測定物では使用することはできません。

薄物(1mm以下)の測定

10~20MHzの高周波の遅延材付き一振動子トランスデューサーを使用します。
詳細は、薄物(1mm以下)の測定を参照ください。

薄物の測定はこちら

薄物(1mm以下)の測定

プレスや曲げ、絞り等の加工後の厚さ測定

プレスや曲げ、絞り加工後の厚さ測定では、湾曲部をピンポイントで測定する必要があります。通常のトランスデューサーでは径が大きすぎるため、鉛筆のように先端が細い、ペン型トランスデューサーを用いて測定を行います。
詳細は、湾曲・エッジ部および自動車のボディを参照ください。

湾曲(曲げ・絞り)・
エッジ部の厚さ測定はこちら
自動車のボディの
厚さ計測はこちら

プレスや曲げ、絞り等の加工後の厚さ測定

鋳鉄(鋳物)の厚さ測定

鋳鉄(鋳物)の厚さ測定

鋳鉄(鋳物)の表面(鋳肌)は粗く超音波が拡散しやすいという特徴があります。 このため、トランスデューサー(プローブ・探触子)には、周波数の低い1MHz2.25MHz3.5MHzを使用します。また可能な限り、径の大きなものを使用します。これは、周波数が低くいほど、また径が大きいほど鋳物に透過する超音波の量が多くなり、安定した測定を行うことができるためです。 *アルミ鋳物の場合は、7.5MHz以上のトランスデューサーを使用します。

測定面とトランスデューサー(プローブ・探触子)の間には、空気の層が入らないように、粘度の高いカプラント(接触媒質)を十分に塗布します。塗布量が少ない場合や、粘度の低いカプラントを使用した場合は、下絵のように測定面とトランスデューサーの間に空気の層ができ、超音波が鋳鉄に透過しないため測定ができません。

Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計(MVX、CMX DL+)を使用すれば、超音波の波形を見ることができるため、より信頼性の高い測定を行うことができます。

ステンレス、アルミニウム、チタンの厚さ測定

ステンレス、アルミニウム、チタンの厚さ測定

ステンレス、アルミニウム、チタンの超音波厚さ測定では、トランスデューサー(プローブ・探触子)との接触面に、特有の表面ノイズが生じる場合があり、正しい厚さを測定できない場合があります。
適切なトランスデューサー(プローブ・探触子)を使用することにより、表面ノイズの発生を抑え、正確な厚さを測定することができます。

測定方法

ステンレス、アルミニウム、チタンの厚さ測定では、5MHz以下の周波数のトランスデューサー(プローブ・探触子)を使用した場合に、特有の表面ノイズが発生し、誤った厚さが表示されることがあります。このため、7.5MHz以上の比較的高周波のトランスデューサーを用いて測定します。
7.5MHz以上の周波数の高いトランスデューサー(プローブ・探触子)を使用すれば、表面ノイズの発生が抑えられ、正しい厚さを測定することができます。

Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計(MVX、CMX DL+、PVX)を使用すれば、表面ノイズを確認しながら感度やゲート(閾値)を調整することで、正しいエコー(底面エコー)を検出することができます。このため、5MHz以下のトランスデューサー(プローブ・探触子)でも正確な厚さ測定を実施することができます。

アルミ鋳物(鋳造アルミ、アルミダイカスト)の厚さ測定

アルミ鋳物(鋳造アルミ、アルミダイカスト)の厚さ測定

アルミ鋳物(鋳造アルミ、アルミダイカスト)とは、高温で溶かしたアルミを鋳型に流し込み、冷えて固まった後に、鋳型から取り出して作る金属製品のことです。鉄に比べて約3分の1の重さと軽く、自動車のエンジンやホイールなどに代表される軽量化が必要で複雑な形状の部品に使用されています。 アルミに銅やマグネシウム等を添加したアルミ合金としてさまざまな種類が有り、それぞれの特性により得意とする分野の部品で使われています。

超音波厚さ計は、アルミ鋳物の製造とメンテナンスの両方で厚さ管理のために使用されています。ここでは、アルミ鋳物(鋳造アルミ、アルミダイカスト)の厚さ測定について説明します。

測定方法

アルミ鋳物は、5MHzから10MHzのトランスデューサー(プローブ・探触子)を用いて測定を行います。
表面が鋳肌の場合には、トランスデューサー(プローブ・探触子)からの超音波を効率良くアルミ鋳物内部に送り込む為に、接触媒質にはマシン油よりも粘性あるカプラントを用います。
また、より径の大きいトランスデューサー(プローブ・探触子)を用いることで、安定した測定を行うことができます。

溶かしたアルミは冷却して凝固する際に体積が収縮するため、収縮による空隙(巣)が発生しやすく、超音波の伝達の妨げとなることがあります。
感度調整が可能な超音波厚さ計(ZX-3/ZX-5シリーズ、ZX-6シリーズ、CMX/CMX DL)や、さらに上位機種のAスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計(MVX、CMX DL+)を使用することで、巣に反射し戻ってくる超音波を避けて、正しい厚さを測定することができます。

樹脂・プラスチック

樹脂・プラスチック

自動車や電気製品に使用される樹脂(プラスチック)部品の多くは、射出成形により製作されています。
射出成形は、複雑な形状を比較的簡単に、しかも高精度な成形が可能で、樹脂(プラスチック)の加工で最もよく利用されている加工法での一つです。

通常、成形品の厚さを測定するためには、測定部を切断しノギスやマイクロメーターで厚さを測定する必要があります。しかしながら、超音波厚さ計を使用することで、切断することなく非破壊で簡単に厚さを測定することができます。

測定方法

成形品の厚さと形状により、使用する機種が異なります。ここでは、厚みと形状に適した、機種とトランスデューサー(プローブ・探触子)の組み合わせを紹介します。

厚さ:1mm以上 形状:平坦・なだらかな湾曲

基本的には、超音波厚さ計ZX-3と、5MHzもしくは2.25MHzのトランスデューサーの組み合わせで測定が可能です。
ただし、ポリプロピレン(PP)等の一部の超音波の減衰が激しいの樹脂では、より高感度での測定が可能な超音波厚さ計MVXやCMX DL+を使用します。

測定方法

厚さ:0.3mm以上 形状:平坦・なだらかな湾曲

超音波厚さ計PZX-7またはPVXと15MHzの遅延材付きトランスデューサーを使用します。遅延材はアクリル樹脂製のため、測定対象が同じアクリル樹脂や似た成分の場合には測定できない場合があります。そのような場合は、遅延材をアクリル樹脂からグラファイトに変更することで、測定することができます。
8mmを超える厚物の測定では、5MHzのコンタクトタイプのトランスデューサーを使用します。
また、ポリプロピレン(PP)のような超音波の減衰が激しい樹脂の測定では、PZX-7ではなくPVXを使用します。

測定方法

厚さ:0.3~4mm程度 形状:平坦・湾曲・エッジ

超音波厚さ計PVXと、10MHzのペン型トランスデューサーを使用します。
ペン型トランスデューサーは、先端が細いため湾曲部の測定が可能ですが、一方で測定箇所に垂直にあてることが難しく、通常の厚さ測定に比べると難易度が高い測定です。

ペン型トランスデューサーの使用方法については、高圧ガス配管等の小径配管・パイプの厚さ測定をご確認ください。

小径配管・パイプの
厚さ測定はこちら

測定方法

石英ガラスの厚さ測定

石英ガラスの厚さ測定

石英ガラスは、金属不純物の割合が極めて少ない透明度の高いガラスです。耐熱性と耐薬品性に優れており、耐熱性については、1,000℃もの高温に耐えることができます。
溶融石英や溶融シリカ、シリカガラスとも呼ばれ、ビーカーやフラスコなどの理化学用途、照明・光学用途、半導体工業などで使用されています。

超音波厚さ計を用いることで、傷つけることなく非破壊で石英ガラスの厚さを測定することができます。

測定方法

石英ガラスは、超音波の伝達に優れており、超音波厚さ計での測定に適した材料です。
一方、石英ガラスの厚さ測定では湾曲部の測定が中心に行われており、一般的な厚さ計ではその形状のため、測定が難しい場合があります。
ここでは、石英ガラスの厚みと形状に最適な装置とトランスデューサー(プローブ・探触子)の組み合わせを紹介します。

厚さ:1mm以上 形状:平坦、なだらかな湾曲

超音波厚さ計ZXシリーズ(ZX-1/ZX-2、ZX-3/ZX-5)と、10MHzのトランスデューサーの組み合わせで測定します。
なだらかな湾曲部は問題なく測定することができますが、もし測定値が安定しない場合は、トランスデューサー(プローブ・探触子)の接触させる向きを変えることで、測定値が安定する場合があります。

厚さ:0.3mm以上 形状:平坦、ならだらかな湾曲

超音波厚さ計PZX-7またはPVXと15MHzまたは20MHzの遅延材(ディレイラインチップ)付きトランスデューサーを使用します。

厚さ:0.5mm以上 形状:平坦、湾曲

超音波厚さ計PVXと、ペン型トランスデューサーを使用します。

ゴム(ラバー)の厚さ測定

ゴム(ラバー)の厚さ測定

ゴム(ラバー)は、その柔らかさのために超音波を吸収してしまい、通常の超音波厚さ計やトランスデューサー(プローブ・探触子)では測定することができません。
ゴムの厚さ測定は、透過力に優れた低周波コンポジットタイプのトランスデューサー(プローブ、探触子)と、強力な超音波が送信可能な高出力の超音波厚さ計を用いて行います。

測定方法

ゴム(ラバー)の厚さ測定では、低周波のコンポジットタイプのトランスデューサー(プローブ・探触子)を使用します。低周波のコンポジットトランスデューサー(プローブ・探触子)は、透過力が非常に強いため、ゴムのような超音波の減衰が激しい材質でも厚さを測定することができます。
一方で、透過力が強い反面、ノイズも多くなります。このため、Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計(MVX、CMX DL+)を使用し、ノイズを確認、回避しながら測定する必要があります。

超音波厚さ計CMX DL+は、強力な超音波を送信可能な高出力の超音波厚さ計のため、比較的厚みがあるゴムの厚さ測定も可能です。

*ゴムの厚み・種類により測定できない場合があります。ご購入前に必ずお問い合わせください。

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FRP(繊維強化プラスチック)の厚さ測定

FRP(繊維強化プラスチック)の厚さ測定

FRP(繊維強化プラスチック)とは、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等のプラスチックに、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を複合して強度を向上させた強化プラスチックのことです。軽量かつ強度が優れているため、様々な分野で普及しています。
一方で、ガラス等の繊維は超音波の伝達の妨げとなるため、FRP(繊維強化プラスチック)は超音波厚さ計での測定が難しい素材の一つです。

測定方法

FRP(繊維強化プラスチック)には、ガラス等の繊維が含まれており、超音波厚さ計からFRPに透過したエコー(超音波)の一部は、ガラス繊維で反射してしまいます。一般的な厚さ計では、このガラス繊維に反射したエコー(超音波)を、底面からのエコー(超音波)と誤って測定してしまう場合があります。

このためFRPの測定では、Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計MVXまたはCMX DL+と、透過力に優れた低周波(1MHzまたは2.25MHz)トランスデューサーの組み合わせて測定を行います。
Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計では、波形を見ながら測定することができるため、誤った超音波を測定している場合にも、感度(ゲイン)やゲート(閾値)を調整することにより、正確な厚さを測定することができます。

*FRPの種類や厚さよっては測定できない場合があります。お問い合わせください。

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セラミックス(ファインセラミックス)の厚さ測定

セラミックス(ファインセラミックス)の厚さ測定

セラミックスは、硬く耐熱性に優れ、金属よりも軽いという長所があります。
セラミックのうち、組成や組織、製造工程を精密に制御し、目的とする機能を発現するために製造したものをファインセラミックスといい、エレクトロニクス産業をはじめ各種産業で使用されています。

超音波厚さ計は、セラミックス(ファインセラミックス)の厚さ管理に使用することができます。

測定方法

一般的に、ファインセラミックスの超音波伝播速度は非常に速く、10,000m/秒以上の音速を持つものもあります。このため、ファインセラミックスの測定では、10,000m/秒の音速に対応した厚さ計を用意する必要があります。
また音速が速いため、鉄やステンレス等と比較し、測定精度(ばらつき)が悪化します。このため、0.001mm表示分解能の精密検査用の厚さ計を使用します。
精密厚さ計PZX-7およびPVXは、0.001mmの分解能に加え、音速18,500m/秒までの物資の厚さ測定に対応しており、ファインセラミックスの測定が可能です。

*ファインセラミックスの厚さ測定は難易度が高いため、ご購入前に必ずお問い合わせください。

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