技術資料(よくわかる講座)

電磁膜厚計と渦流膜厚計の測定原理と特徴

膜厚計とは、塗装やメッキ・コーティングによる皮膜の厚さを測定する装置です。
塗装は、素地(下地)の保護や見映えを良くするために行われますが、膜厚が適切でないと光沢の劣化や変色、ひび割れ等を引き起こし、目的とする役割を果たすことができなくなる恐れがあります。このため、膜厚計を用いて被膜の厚さを測定し、適切な厚さで塗装が行われているかを確認することは大変重要です。

膜厚計には、電磁膜厚計や渦流膜厚計、超音波膜厚計のような接触式の膜厚計から、反射分光式膜厚計や蛍光X線膜厚計のような非接触式の膜厚計まで、様々な種類が考案され実用化されています。ダコタ・ジャパンでは、現場で簡単に使用できるハンディタイプの電磁膜厚計と渦流膜厚計を扱っています。
このページでは、電磁膜厚計と渦流膜厚計の特長とその測定原理について説明します。

特徴

電磁膜厚計および渦流膜厚計は、金属上の被膜の厚さを測定します。電磁膜厚計は鉄等の磁性金属の被膜の厚さ測定に、渦流膜厚計(渦電流式膜厚計)はアルミや銅などの非鉄(導電性非磁性)金属の被膜の厚さ測定に使用します。

使用方法は非常に簡単で、測定箇所にプローブを軽く密着させるだけで瞬時に膜厚を測定することができます。超音波検査のようにカプラント(接触媒質)の塗布も不要です。ハンディサイズのため、屋外や高所での検査にも適しています。

一方で、素地が木材やコンクリート、プラスチックやガラス等の場合は、被膜の厚さを測定する事ができません。プローブ(センサー)先端と素地との距離を計測するため、被膜の表面状態(粗さ)やプローブの密着度による影響を受けます。また、接触式のため工場での自動測定にも不向きです。

測定方式 電磁膜厚計(電磁誘導式) 渦流膜厚計(渦電流式)
素地(下地) 鉄、鋼、フェライト系ステンレス鋼 アルミ、銅、真鍮
磁性金属 導電性非磁性金属
被膜 プラスチック、樹脂(ラッカー)、ゴム(ライニング)
エナメル、酸化被膜、亜鉛、クロム、錫、銅、アルミニウム
プラスチック、樹脂(ラッカー)、ゴム(ライニング)
レジスト、エナメル、アルトマイト(陽極酸化被膜)
非磁性被膜 絶縁性被膜
測定方法 接触 接触
多層膜の測定
(各層の膜厚測定)
× ×
自動測定 不向き 不向き
その他 木材やガラス、コンクリート上の被膜の厚さは測定することが出来ない。接触式のため、自動測定には不向き。
ハンディタイプのため、現場での測定が可能。

測定原理

電磁膜厚計(電磁誘導式)

電磁膜厚計(電磁誘導式)では、プローブ内の1次コイルで発生させた磁束が、被膜の厚さにより2次コイルに誘導される電流を変化させることを利用し、膜厚を測定します。
1次コイルで発生させた磁束を2次コイルが受ける際、磁束の範囲内に磁気を帯びる材質(鉄などの磁性体)があると磁束分布に変化が生じ、2次コイルに誘導される電流が変化します。磁束分布の変化は、1次コイルと磁性体との距離によっても変化するため、誘導電流の変化を測定することで、磁性体との距離(膜厚)を測定することができます。

電磁誘導式では、素地が鉄などの磁性体で、被膜は磁気を帯びない樹脂やアルミなどの非磁性体である必要があります。

1次コイルで一定の磁束を発生させる。
磁束の状況は磁性体である素地との距離(膜厚)により変化するため、2次コイルで磁束の変化を検出し、膜厚として表示する。

電磁膜厚計の仕組みイラスト画像
グラフ画像

渦流膜厚計(渦電流式)

渦流膜厚計(渦電流式)では、1次コイルの磁束により発生した導体内部の渦電流の量が、導体と1次コイルとの距離によって変化することを利用し、膜厚を測定します。
1次コイルで生じた磁束が導体に達すると、導体内部に渦電流(誘導電流)が発生します。この渦電流によって発生した磁束が2次コイルを通ると、2次コイルには起電力が生じます。導体内に発生する渦電流の量は、1次コイルと導体との距離にって変化し、渦電流が生成した磁束により2次コイルに発生する起電力も、同様に導体との距離により変化します。このため、起電力を測定することで導体との距離(膜厚)を測定することができます。

1次コイルで一定の磁束を発生させる。磁束が素地に達すると渦電流(誘導電流)が発生する。
渦電流の量は1次コイルと素地との距離(膜厚)により変化するため、2次コイルで渦電流により発生する磁束を検出し、膜厚として表示する。

渦流膜厚計の仕組みイラスト画像
グラフ画像