超音波ボルト軸力計「特徴」のご説明

技術資料

4.超音波ボルト軸力計の特徴

超音波ボルト軸力計の特徴

超音波を利用してボルトの伸びから軸力を求める軸力測定方法が、最も精度が高く、信頼性が高い方法です。

締め付け管理方法には、トルク法や、角度法、トルク勾配法など、様々なものがありますが、目的はすべて、軸力を得るという一点にあります。

超音波ボルト軸力計は、この軸力を非常に高い精度で直接測定することができる装置です。

超音波ボルト軸力計を使用することにより、右図のように、降伏点の90~95%という弾性域内限界で締め付けが可能になります。

各種締結手法の特徴
測定手法 特徴 測定可能なボルトサイズ 精度
超音波ボルト軸力計
(測伸法)
ボルトの伸びから軸力を測定する方法。
最もバラツキが少なく正確な締結管理方法。
ボルト両端面の研磨が必要だが、ばね定数に影響を与えないため、
正確な軸力を測定することができる。
径:M5以上
全長:12㎜以上
ひずみゲージ
(ひずみ法)
ひずみから軸力を測定する方法。
ゲージ接着のため、ばね定数に影響を与える加工を行う必要があり、精度は若干落ちる。連続的なデータ収集に適しており、主に実験で使用されている。
径:M6以上
全長:15mm以上
角度法
ボルトが着座してからの、ボルトをまわす角度で、締付を管理する手法。
塑性域での締結に適しており、自動車のエンジン部など、
高い締め付け精度を要求される箇所で、広く利用されている。
すべてのボルトで
測定可能
トルクレンチ
(トルク法)
現在最も広く使用されている締結管理手法。
簡易的に締付管理が行える半面、摩擦を一定にすることが難しく、
軸力のバラツキが大きい。
すべてのボルトで
測定可能
超音波ボルト軸力計とひずみゲージの比較
  超音波ボルト軸力計 ひずみゲージ
導入費用
(本体価格)
約100〜250万円 約30〜60万円
ランニングコスト
(ボルト加工費)
約1,000〜5,000円/1本 約10,000〜30,000円/1本
ボルト加工日数 3〜7日程度
ボルト両端面の研磨加工のみ必要。
1本ずつ校正データを取る必要がないため、ひずみゲージに比べ短時間でボルトを準備できる。
2〜4週間程度
ボルト側面または中央を加工し、ひずみゲージを張り付ける。
さらに引張試験機ですべてのボルトの校正を行う必要がある。
測定可能な
ボルトサイズ
径:M5以上
全長:12㎜以上
径:M6以上
全長:15mm以上
作業性
作業性が非常に高く、簡単に測定することができる。
ひずみゲージのように測定のやり直しが発生しないため、ひずみゲージに比べ1/5程度の時間で測定が可能。
作業中にひずみゲージの破損やリード線が断線が起きやすい。
特に、ナットランナーのような速度のある締付において問題が生じやすく、測定のやり直しが発生する。
精度
ばね定数に影響を与える加工を行わない。
このため、実際のボルトと同じ条件のもと、精度の高い軸力測定ができる。
ボルトの側面または中央の加工がばね定数に影響を与えてしまう。
このため、補正係数により精度への影響を小さくする必要がある。
動的データ測定 ×
多チャンネル測定
(複数ボルトの同時測定)
×
高温での測定
高温のボルトを直接測定することはできないが、常温に戻してからの測定はできる。このため、高温運転後に、軸力低下等の測定を行うことは可能。
×
総評
作業性が高く、短時間でより多くのボルトの軸力測定を行うことができる。
ボルトの測定サンプル数が多い場合は、価格の面からも、超音波ボルト軸力計の使用に大きなメリットがある。
動的(連続的)なデータ測定や、多チャンネルで複数ボルトの同時測定を行う場合には、超音波ボルト軸力計では対応できない。
このため、これらの測定では必ずひずみゲージを使用する必要がある。

超音波ボルト軸力計の用途

超音波ボルト軸力計は、航空・宇宙、自動車、土木・建築、プラントなどの幅広い業種で、以下の用途を中心に使用されています。

重要箇所の締結力の確認に

トルク法や角度法などの既存の締結手法に比べて、高い精度でボルトの締結力を測定することができます。

トルクや角度の決定に

軸力計に表示される実際の軸力を元に、トルクや角度を決定することができます。自動車等の組立業界では、ラインではトルクや角度で締結を管理していますが、このトルクや角度の決定に、超音波ボルト軸力計が使用されています。

歪ゲージの代わりに

歪ゲージと比較して、より少ない時間・金額で、測定を行うことができます。このため、測定サンプル数を増やし、より信頼性の高いテストを行うことができます。また、歪ゲージでは測定困難な、細い径のボルトも測定することができます。

ボルト軸力の経年変化の確認に

軸力の経年変化を管理することができます。

締付実験に

設計・試作等での最適軸力の確認・決定に使用することができます。

ダイカストマシン・射出成形機の型締め力の確認に

タイバーにかかる応力を測定し、実際の型締め力を確認することができます。

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