技術資料(よくわかる講座)

塗装(塗膜)付き鋼板の厚さ測定

測定面に塗装(塗膜)が施された鋼板を超音波厚さ計で測定すると、鋼板と塗装(塗膜)の厚さを合算した厚さよりも、大幅に厚い値が測定値として表示されます。
これは、ペンキやエポキシ系の塗料の音速が鉄に比べて約2.5倍遅いため、実際の膜厚の約2.5倍の厚さが、素地である鋼板の厚みに加算されてしまうからです。
正確な鋼板(素地、母材)の厚さを測定するためには、塗膜を剥してから測定を行わなければいけなく、塗膜の除去と再塗装が必要で、手間がかかる作業でした。

エコー・エコーモード(多重エコー方式、B1-Bn方式)を搭載した超音波厚さ計では、塗膜を剥さなくても、鋼材の厚さのみを測定することができます。
ここでは、エコー・エコーモードでの厚さ測定について説明します。

測定方法

エコー・エコーモード(多重エコー方式、B1-Bn方式)が搭載された超音波厚さ計で測定を行います。
エコー・エコーモードでは、1回目の底面エコー(B1)と2回目の底面エコー(B2)の伝播時間差から厚さを算出します。1回目の底面エコー(B1)と2回目の底面エコー(B2)の伝播時間差には、塗膜の厚さ分が含まれておらず、鋼材の厚さのみとなるため、塗膜を剥すことなく鋼材の厚さを測定することができます。

腐食検査用厚さ計

トランスデューサー(プローブ・探触子)には、2回目の底面エコーの測定に適したハイダンプ仕様のトランスデューサーを使用します。
素地(母材)が厚みのある場合には3.5MHzのトランスデューサーを使用し、素地がアルミニウムやステンレス、チタンの場合は7.5MHzのトランスデューサーを使用します。
ハイダンプのトランスデューサーは、塗膜上からの測定以外にも、腐食検査や厚さ測定等の通常の測定にも使用することができます。
Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計(MVXCMX DL+)を使用すれば、測定面の状態が悪い場合や、裏面で腐食が進行している場合でも、感度(ゲイン)やゲートを調整することで測定することができます。
(注)表面または裏面が極端に粗い場合は、測定できない場合があります。

精密検査用厚さ計

精密検査用の厚さ計では、塗装(塗膜)の厚さが厚い場合に、素地(母材)ではなく膜厚を誤って測定してしまう場合があります。Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計のPVXであれば、このような場合でもゲートを調整することで、素地(母材)の厚さを測定することができます。

動画

塗装上からの母材厚さの測定 MMX-6

膜厚と母材厚さの同時測定 CMX

塗装上からの母材厚さの測定(Aスコープ) MVX

対応機種

ZX-6シリーズ

ZX-5の機能に、塗装を剥がさずに母材(素地)の厚さが測定できるエコー・エコーモードを搭載した厚さ計です。
パルス・エコーは0.63mm~1,000mm(1m)、エコー・エコーでは2.5mm~50mmの素晴らしい測定範囲を誇ります。

ZX-6シリーズ

CMX / CMX DL Ver.2

膜厚と母材(素地)の厚さを同時に測定します。
外観はそのままに内部のハードウェアを一新、VersionⅡとして生まれ変わりました。基本性能を大きく進化させ、測定精度および測定範囲を向上させました。

CMX / CMX DL Ver.2

MVX Ver.2

多用途に使用できる一般・腐食検査用厚さ計の上位モデルです。
A/Bスコープ表示、独立2ゲート、エコー・エコーモード等の機能を搭載しています。通常の厚さ計では測定が難しいFRPの厚さ測定も可能です。

MVX Ver.2

CMX DL+ Ver.2

CMX DLとMVXの機能を融合した、多用途に使用できる一般・腐食検査用厚さ計の最上位機種です。
A・Bスコープ表示、GAIN SLOPE(TDG)、膜圧測定機能等、様々な機能を搭載しています。

CMX DL+ Ver.2

PZX-7シリーズ

0.15mmの薄物から測定可能な、0.001mm分解能の精密検査用波厚さ計です。
感度調整、1点・2点校正、スキャンモード等の多彩な機能能を搭載しています。PZX-7DLには、10,000件のデータ保存が可能です。

PZX-7シリーズ

PVX Ver.2

最高の精度を実現した精密検査用厚さ計のフラグシップモデルです。ペン型トランスデューサーを使用すれば湾曲部やエッジの測定も可能です。A/Bスコープ表示、独立3ゲート、GAIN SLOPE等、豊富な機能を搭載しています。

PVX Ver.2

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*本資料は、測定の一例を示すものであり、規格・法令等により定められた測定方法を説明するものではありません。