技術資料(よくわかる講座)

磁気式厚さ計の測定原理と特徴

磁気式厚さ計は、測定箇所にセンサーを接触させ、同時に反対側に鉄球や磁石球等のターゲットボールを配置することで、センサーとターゲットボールの距離を測定し、測定箇所の厚さを表示します。
測定箇所の反対面に鉄球等を配置する必要がありますが、カプラント(接触媒質)が不要なため連続的な測定に適しており、さらに曲面やコーナーの厚さ測定も比較的簡単に行うことができます。このため、ペットボトル等のプラスチック容器やガラス容器の厚さ測定で使用されています。
ここでは、磁気式厚さ計の測定原理と特徴について、詳しく説明します。

測定イメージ画像

特徴

測定イメージ画像

磁気式厚さ計は、圧電素子を用いた一般的な超音波厚さ計と異なり接触媒質(カプラント)が不要です。連続的な測定や、曲面やコーナーの厚さ測定に適しており、さらに超音波厚さ計では測定できない0.1mm未満の厚さ測定も可能です。

一方で、磁性体の測定を行うことはできません。センサーの反対側にターゲットボール(鉄球・磁石球)を配置する必要があるため、ボールを配置することができないと厚さを測定することができません。また、センサーは磁性を帯びているため、鉄粉があるような環境での取り扱いには注意が必要です。

磁気式厚さ計は、一般的な超音波厚さ計には無い様々な特徴を備えており、用途に応じ磁気式厚さ計と超音波厚さ計を使い分けることで、より効率的に検査を行うことができます。

  • 接触媒質(カプラント、水、油)の塗布が不要
  • ペットボトル等のプラスチック容器やガラス容器の厚さ測定(曲面・コーナーの測定や、連続的な測定に対応)
  • 0.1mm未満の厚さ測定も可能
厚さ計の種類 磁気式厚さ計 超音波厚さ計
金属(磁性体)の厚さ測定 ×
金属(非磁性体)の厚さ測定
ガラス・プラスチックの厚さ測定
カプラント(接触媒質)の必要性 不要 必要
0.1mm以下の測定 ×
精度
連続測定
その他 プラスチック容器やガラス容器の測定では、磁気式厚さ計の方が、超音波厚さ計よりも手軽に測定することができる。一方で磁気式厚さ計は、ターゲットボール(鉄球・磁石球)を配置しなければいけないため、容器以外での用途が限られる。

測定原理

磁気式厚さ計は、磁場を利用してターゲットボール(鉄球・磁石球)とセンサーの間の距離を測定します。具体的には、鉄球とセンサーの間の距離によって変化する磁場の信号を、センサーに内蔵されているホール効果センサーを使用して測定し、厚さに変換します。
磁場の変化を読み取るため、測定対象は非磁性体に限られます。また、ターゲットボールを配置する必要があるため、密閉容器や稼働中の配管の厚さを測定することはできません。

ホール効果について

ホール効果とは、電流が流れている導電性の物体に、流れている電流と垂直方向に磁場をかけると、電流と磁場の両方に垂直な方向で起電力が生じる現象です。フレミングの左手の法則で、親指の力の方向に電子が押されるために、親指の向きに電位差が生まれる事を利用しています。
ホール効果のセンサーは、磁気の強さやその極性を判別することができ、その応用として家電/携帯電話から車まで、多方面で使われています。

ホール効果を表したイラストとグラフ

磁気式厚さ計では、ターゲットボールとセンサーの間の距離を計測するため、下のイラストの①のようにターゲットボールがセンサーの真上に来るように配置する必要があります。②や③のケースではボールがセンサーの真上に位置していないため、不正確な厚さが表示されます。また、④ではターゲットボールが大きいため、溝に入るより小さいターゲットボールを使用する必要があります。⑤については、センサー先端を細いタイプの交換した上で、測定する必要があります。

測定方法イラスト