技術資料(よくわかる講座)

超音波とは

超音波とは、私たち人間の耳では聞くことができない高い音のことです。
個人差はありますが、人は約20Hz(ヘルツ)~20kHz(キロヘルツ)の周波数の音波を聞くことができます。人が聞くことができない20kHz以上の高い音波を、総称して超音波と呼んでいます。

超音波は、様々な用途で使用されています。工業・産業用途では、潜水艦や船舶の探知に使用するソナー、魚群探知機、そして当社が販売している超音波厚さ計・超音波探傷器・超音波ボルト軸力計等です。医療用途では、腹部や胎児のエコー(超音波)検査で使用されています。
また、動物ではイルカやコウモリなどが、超音波を利用していることが知られています。

魚群探知機では15~200kHzの周波数の超音波が、超音波厚さ計および超音波探傷器では1~10MHz、超音波ボルト軸力計では5~10MHzの超音波が一般的に使用されています。また、成人腹部のエコー検査では3~5MHz、胎児のエコー検査では2.5~7.5MHzの超音波が使用されています。

超音波の非破壊検査への適用は非常に古く1930年頃から行われています。技術的に確立した信頼できる検査手法であり、かつ人体に安全なため、非破壊検査の中心的な検査手法として活用されています。

波形画像

音の周波数帯説明画像

超音波の特徴

超音波には、大きく以下の二つの特徴があります。

  • 物質と物質の境界で反射する
  • 物質により音の伝わる速度(音速)が異なる

超音波には、物質と物質の境界で反射するという特徴があります。ただし、超音波がすべて反射するのではなく、一部の超音波は通過します。
反射する超音波と通過する超音波の割合は、隣り合う物質の材質の組み合わせにより変化します。
例えば鉄と水の場合、約94%の超音波は境界で反射し、残りの6%が通過します。一方でアクリル樹脂と水の場合は、34%の超音波が境界で反射し、64%は通過します。超音波の反射・通過の割合は、隣り合う物質の音響インピーダンスにより決定されます。

超音波の特徴画像

次に、超音波の伝わる速度(音速)は、物質により異なります。
例えば同じ金属でも、鋼の音速は約5,920m/sですが、アルミニウムの音速は約6,380m/s、ステンレスの音速は5,660m/sと、材質により音速は異なります。また同じ鋼でも、鋼種が異なると音速は異なります。鋼種の違いによる音速の差は比較的小さく2%程度ですが、アルミニウムや鋳鉄、ステンレスでは差が大きく種類が違うと20%以上も音速が異なる場合もあります。

超音波厚さ測定・探傷試験では、正確な検査のために、正しい音速を把握することが大切です。測定物と同じ材質・材種の試験片を用意し、音速の校正を行うことが重要です。

超音波の種類

超音波の波の種類には、縦波や横波、表面波、板波などがあります。超音波厚さ測定では縦波が、超音波探傷試験では主に縦波と横波が使用されています。

縦波とは、粒子の振動が波の進行方向と同じ縦方向に起こる波のことで、最も伝達(音速)が速い波です。
横波とは、粒子の振動が波の進行方向と直角の横方向に起こる波のことです。縦波よりも伝達が遅く、約半分の伝達速度(音速)となります。固体の中だけに伝搬し、液体や気体の中は伝わりません。斜角探傷試験で主に使用されます。
下表は、主要な材料の縦波と横波の音速です。

縦波と横波

単位:m/秒
材料音速(m/s)
縦波横波
5,920 3,240
ステンレス 5,660 3,120
アルミニウム 6,380 3,130
鋳鉄 4,550 2,700
4,650 2,260
ガラス 5,770 3,430
ポリ塩化ビニル 2,390 1,060
ナイロン 2,690 1,090