鋳鉄(鋳物)の厚さ測定
鋳鉄(鋳物)とは、高温で溶かした金属を型に流し込み、冷えて固まった後に型から取り出して作った金属製品のことで、自動車をはじめ様々な製品・部品に使用されています。
鋳鉄(鋳物)の肉厚検査は、超音波厚さ計の主要な用途の1つで、広く利用されています。
鋳鉄は超音波を拡散しやすいという特徴があるため、周波数の低いトランスデューサー(探触子)を使用し、また、測定面とトランスデューサー(プローブ・探触子)の間に空気の層が入らないように、粘度の高い接触媒質を十分に塗布します。
測定方法
鋳鉄(鋳物)の表面(鋳肌)は粗く超音波が拡散しやすいという特徴があります。
このため、トランスデューサー(プローブ・探触子)には、周波数の低い1MHzや2.25MHz、3.5MHzを使用します。また可能な限り、径の大きなものを使用します。これは、周波数が低くいほど、また径が大きいほど鋳物に透過する超音波の量が多くなり、安定した測定を行うことができるためです。
*アルミ鋳物の場合は、7.5MHz以上のトランスデューサーを使用します。
測定面とトランスデューサー(プローブ・探触子)の間には、空気の層が入らないように、粘度の高いカプラント(接触媒質)を十分に塗布します。塗布量が少ない場合や、粘度の低いカプラントを使用した場合は、下絵のように測定面とトランスデューサーの間に空気の層ができ、超音波が鋳鉄に透過しないため測定ができません。
Aスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計(MVX、CMX DL+)を使用すれば、超音波の波形を見ることができるため、より信頼性の高い測定を行うことができます。
(注)表面が極端に粗い場合は、測定できない場合もあります。
対応機種
対応トランスデューサー
3.5MHz以下の周波数の低いトランスデューサーを使用します。
径の大きいトランスデューサーを使用すれば、材料に透過する超音波の量が多くなるため、より安定した測定を行うことができます。
周波数 | 径 | 種別 | 探触子 | 対応機種 | 部品番号 |
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1.0MHz | 18mm | ニ振動子 | MVX、CMX | TT-D1-12 | |
2.25MHz | 12mm | ニ振動子 | ZX、MVX、CMX | TT-D2-14 | |
2.25MHz | 18mm | ニ振動子 | ZX、MVX、CMX | TT-D2-12 | |
3.5MHz | 18mm | ハイダンプ | ニ振動子 | ZX-6、MVX | TT-D3-12HD |
3.5MHz | 18mm | コーティング(厚測定対応) | ニ振動子 | CMX | TT-D3-12CT |
*本資料は、測定の一例を示すものであり、規格・法令等により定められた測定方法を説明するものではありません。