タイヤ(ゴム製)の厚さ測定
自動車や二輪車に使用されているタイヤは、路面の衝撃を和らげ乗り心地を向上させる役割の他に、駆動力・制動力を路面に伝える、方向を転換・維持する、そして車体重量や乗員・積み荷の重さを支える等の重要な役割を担っています。
自動車用のゴム製タイヤは、製造時に外観検査やバランスチェック、内部のスチールコードの位置の確認などが行われます。外観からは判断できないスチールコードの位置は、使用中における事故や故障の原因となることもある為、一般的にX線等を用いて検査が行われています。
超音波厚さ計による測定では、X線検査における取扱い上の注意や透視画像に対する知識が必要ありません。ある程度慣れれば、誰でも現場でタイヤのトレッド部の外表面から内部スチールコードまでのゴムの厚さ検査を、精密に行うことができます。
測定方法
タイヤの超音波厚さ測定は、比較的難易度の高い測定です。ゴム製タイヤの厚さ測定では、トレッド部表面からスチールコードまでの厚さを計測します。ゴム材料は元々、超音波の減衰が大きいという特徴があり、さらにトレッド部の表面にはスリットが何本もあるため、一般的なゴム材料よりも超音波の減衰が大きくなります。
しかしながら、コツをつかむと画面に表示されるエコー(波形)を見ながら調整・検査・解析を行うことができるため、他の方法に比べて取扱いし易く、迅速な検査が行えます。
タイヤ自体の内部構造によって発生する反射エコーのパターンが複雑であるため、これらの測定にはAスコープ(エコー・波形)を読み取りながら測定を行う必要があります。このため、装置にはAスコープ(波形)表示付きの超音波厚さ計(MVX、CMX DL+)を用います。また。タイヤは超音波の減衰が大きいため、トランスデューサーには低周波の1MHzを使用します。さらに、測定時には、十分な量のカプラントをゴムタイヤ表面に塗布してください。
*ゴム(ラバー)の基本的な測定については、ゴムを参照ください。
トランスデューサー(1MHz)
Aスコープ(波形)
対応トランスデューサー
周波数 | 径 | 種別 | 探触子 | 対応機種 | 部品番号 |
---|---|---|---|---|---|
1.0MHz | 18mm | 二振動子 | MVX、CMX | TT-D1-12 | |
1.0MHz | 18mm | コンポジット | 二振動子 | MVX、CMX | TT-D1-12CPZT |
*本資料は、測定の一例を示すものであり、規格・法令等により定められた測定方法を説明するものではありません。