材料の音速一覧
材料の音速一覧
音速とは、物質を伝わる音の速さのことです。物質の種類により音速は異なり、縦波では1秒間に水中で約1,500m、鋼中で約5,900mの速さで伝わります。
超音波の波にはいくつか種類がありますが、超音波厚さ測定と超音波探傷の垂直探傷では縦波が、斜角探傷では横波が主に使用されています。
このページでは、主要な材料の縦波音速と横波音速を紹介します。
音速とは
音速は、音が伝わる物質(媒質)の密度と弾性率によって決まる特有のもので、媒質の種類と、縦波や横波といった波のモードによっておおよそ決まります。音の発生方法や波の振幅、周波数が変わっても、音速は変わりません。つまり、人の耳に聞こえる可聴音も、周波数の高い超音波も、小さな音も大きな音も、媒質と波の種類が同じなら基本的に音速も同じです。
ただし、同じ物質でも相によって音速は異なり、気体 -> 液体 -> 固体の順に速くなる性質があります(固体中が最も速い)。例えば水の場合、水蒸気よりも水の方が、水よりも氷の方が音速は速くなります。また、その物質の状態(温度、圧力)によっても変化し、温度上昇による音速の変化様式は物質の相によっても異なるなど、媒質の音速には複雑な面もあります。一般的には、数℃程度の温度差による音速の違いは測定上大きな問題にはなりませんが、10℃以上異なると、測定結果に影響を及ぼします。
下の表に、主要な材料の縦波音速と横波音速を紹介します。上述の通り、音速は媒質の組成や温度などにより変化するため、下記はあくまでも代表値としてご覧ください。
超音波厚さ計は、超音波の伝播時間と測定物の音速から厚さを算出するため、正確な測定値を得るためには、正しい音速を把握することが必須です。測定を実施する前に、測定物と同じ材料の試験片を用意し、実際の測定と同じ温度環境にて音速の校正を行うことで、より正確な検査が可能となります。
音速一覧
材料 | 音速(m/s) | |
---|---|---|
縦波 | 横波 | |
空気 | 340 | - |
水銀 | 1,450 | - |
水 | 1,470 | - |
テフロン | 1,520 | 635 |
潤滑油(SAE 30) | 1,750 | - |
グリセリン | 1,930 | - |
鉛 | 2,160 | 700 |
ポリスチレン | 2,340 | - |
ポリ塩化ビニル | 2,390 | 1,060 |
ナイロン | 2,690 | 1,090 |
プラキシガラス | 2,690 | 1,270 |
カドミウム | 2,770 | 1,500 |
金 | 3,250 | 1,194 |
スズ | 3,330 | 1,670 |
ウラン | 3,380 | 1,980 |
青銅 | 3,531 | 2,235 |
銀 | 3,610 | 1,590 |
コロンビウム | 3,920 | 2,100 |
プラチナ | 3,960 | 1,670 |
亜鉛 | 4,320 | 2,410 |
真鍮・黄銅 | 4,390 | 2,120 |
鋳鉄 | 4,550 | 2,700 |
銅 | 4,650 | 2,260 |
ジルコニウム | 4,650 | 2,250 |
タングステン | 5,180 | 2,870 |
モネルメタル | 5,360 | 2,720 |
ニッケル | 5,640 | 2,970 |
ステンレス | 5,660 | 3,120 |
石英 | 5,740 | 2,210 |
ガラス | 5,770 | 3,430 |
インコネル | 5,820 | 3,020 |
マグネシウム | 5,840 | 3,050 |
鋼鉄 | 5,920 | 3,240 |
チタニウム | 6,100 | 3,120 |
モリブデン | 6,250 | 3,350 |
アルミニウム | 6,380 | 3,130 |
ベリリウム | 12,880 | 8,880 |
単位:m/秒