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超音波音速計の測定原理・特徴 Measuring principle

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超音波音速計の測定原理と特徴

超音波音速計の測定原理と特徴

超音波音速計は、鋳鉄・セラミックス・ガラス・プラスチック(樹脂)等の片側にセンサー(トランスデューサー)をあてるだけで、簡単に音速を測定します。主に黒鉛球状化率の推定や、弾性率の算出に用いられています。

このページでは超音波音速計の測定原理と特徴について説明します。

超音波音速計の仕組み

超音波音速計は、トランスデューサー(プローブ・探触子)と呼ぶ超音波センサーから発信した超音波が、試験体の反対面(裏面)に反射し再度トランスデューサーに戻ってくるまでの時間を計測し、それをもとに音速を算出します。

音速(速さ)を求めるためには、速さ=距離/時間の関係から、超音波音速計で計測した伝播時間で、距離を割ればよいだけです。超音波音速計の場合、超音波の伝播距離は厚さの2倍となるため(超音波が往復しているため)、厚さに2を乗じ距離に換算し、それを伝播時間で除すれば音速を求めることができます。

C(音速) = 2D / t

C: 音速、 D:厚さ、 t:伝播時間

測定方法

超音波音速計の特徴

超音波音速計は、材料の片側にトランスデューサーと呼ぶ超音波センサーを接触させるだけで、非破壊で材料の音速を表示します。前処理等が不要で、手軽に材料の音速測定が可能です。ハンディタイプの測定器のため、試験室だけでなく、現場での使用にも適しています。
測定箇所が鋳肌のように粗い場合は二振動子トランスデューサーの超音波音速計(ZX-5シリーズQSV DLC-MCMX DL+ Ver.2)を、より正確な音速を測定する場合は一振動子トランスデューサーの超音波音速計(CMX DL+ Ver.2PVX Ver.2)を使用します。*CMX DL+ Ver.2は、一振動子・二振動子両方のトランスデューサーに対応します。

一方で、トランスデューサーと材料の間にはカプラント(接触媒質)と呼ぶ液体を塗布する必要があります。健康診断のエコー検査で胸部にゼリー状の液体を塗りますが、目的は同じです。接触媒質については、下の「接触媒質(カプラント)」で詳しく説明します。
超音波音速計では、反対面(裏面)で反射した超音波が再度トランスデューサーで受信されないと音速を計算することができません。このため、両端面はある程度平行である必要があります。また、ゴムのように超音波が途中で減衰して消えてしまう高減衰材や、木材や発泡プラスチックのように気泡を含む素材も、超音波が気泡を通過しないため、測定することができません。

測定方法

測定方法

接触触媒(カプラント)について

超音波は、物質の境界面で境界で反射するという性質を持っています。特に金属や樹脂等の固体と空気は音響インピーダンスが大きく異なるため、個体から空気、空気から固体へはほとんど超音波が伝播しません。このため、トランスデューサーと測定面の間には、超音波を伝達させるために、少量の液体を塗布し空気の層を無くす必要があります。
液体には、水や油の他に、カプラントと呼ばれる専用剤が使用されています。カプラントは超音波検査専用に作られているため、水や油よりも超音波の伝達に優れており、より高精度で信頼性の高い測定を行うことができます。

測定方法

材料の音速

鋼、鋳鉄、アルミ、ステンレスと材料毎に音速は異なります。また同じ材料でも、例えばSUS303とSUS304、SUS316では音速が異なります。鋳鉄の場合、ねずみ鋳鉄とダクタイル鋳鉄では大きく音速が異なり、ダグタイル鋳鉄においても黒鉛球状化率の違いにより音速は異なります。
音速は温度の影響も受けます。測定した材料の音速を正確に比較するためには、同じ温度条件のもとで測定する必要があります。